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東京地方裁判所 昭和44年(行ウ)202号 判決

東京都墨田区文化一丁目三四番一五号

原告

五十嵐長治

右訴訟代理人弁護士

島田正雄

榎本武光

東京都墨田区東向島二丁目七番一四号

被告

向島税務署長

佐藤和助

右指定代理人

伴義聖

室岡克忠

中村宏一

吉田和夫

清水定穂

右当事者間の標記事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

(原告)

一  被告が原告に対し、昭和四三年三月一五日付をもってなした昭和三九年分並びに同年七月八日付をもってなした昭和四一年分の各所得税課税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分はこれを取消す。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

主文同旨。

第二当事者の主張

(原告の請求原因)

一  原告は、肩書地においてガラス研磨業を営む、いわゆる白色申告者であるが、被告に対し昭和三九年分及び昭和四一年分の所得税に関して次表のとおり確定申告あるいは修正申告をしたところ、同表記載の増額更正及び過少申告加算税賦課決定の各処分(以下右各処分を一括して本件各更正処分、または本件更正処分という。)を受け、同表記載の経緯でこれに対する行政不服申立手続を経由した。

(昭和三九年分)

〈省略〉

(昭和四一年分)

〈省略〉

二 しかしながら、本件各更正処分は違法であるからその取消しを求める。

(被告の認否及び本件課税根拠)

一  認否

請求原因一は認める。

同二は争う。

二  本件課税処分の根拠

原告の係争各年分における所得金額算出根拠は次のとおりであり、本件各更正処分はいずれもその範囲内であるから適法である。

(昭和三九年分事業所得)

1  原告の係争年分の事業所得金額及びその内訳は別表第一のとおりである。

2  総収入金額

原告の取引先及び取引金融機関の調査により取引先別に確認し、算出した。

3  一般経費

原告が被告に提示した経費関係の原始記録に基づいて算出した。

(一) 右経費のうち、荷造運賃の額については、原告の昭和三九年の収入金額に原告の昭和三八年分所得税確定申告の基となった原告の同年分の収入金額に対する同年分の荷造運賃の割合を乗じて、計算したものである。

(二) 消耗品費

内訳は、次表のとおりである。そのうち包装費三〇、六九二円及びその他消耗品費二八五、二四二円の額は、原処分調査時に、原告が被告係官に提示した原始記録に基づいて計算したものである。

(消耗品費内訳)

〈省略〉

4 特別経費

当初調査の際、原告が被告に提示した特別経費関係の原始記録に基づいて計算したものである。

右経費のうち、外注費一、四七八、九〇七円の内訳は次表のとおりである。

(外注費内訳)

〈省略〉

(昭和四一年分事業所得)

1  本件更正処分における原告の係争年分の所得金額は、原告が調査に協力しなかったため一部を推計によって算出したものであるか、被告が、被告がその後調査したところによれば、別表第二のとおり一、五三九、九三七円となる。

その算出根拠は、次のとおりである。

(一) 総収入金額

原告の取引先および取引金融機関の調査により、別表第二のとおり取引先別に確認し算出した。

(二) 一般経費

一般経費については、原告が調査に応じなかったため、実額計算ができなかったので、原告の昭和三九年分の一般経費率を算出し、これを後述の自家加工収入金額に乗じて算出したものである。

右の計算において、自家加工収入金額を基本にした理由は、次のとおりである。

原告の収入を分析したところ、〈1〉得意先から受注したものを原告において加工して収入をあげる自家加工による収入と、〈2〉得意先から受注したものを原告が直接加工せず、外注先に加工させて収入をあげる外注による収入とがあり、右外注収入をあげるためには、一般経費を要しないためである。

収入金額を自家加工収入と外注収入に区分する計算については、前述のとおり原告が調査を拒否したため、それまでの調査によって判明している三九年分の収支内容と、収入金額にほぼ比例する電力消費量(別表第三のとおり)から次のとおり算出したものである。

(39年分収入金額) (39年分外注費) (39年分自家加工収入)

7,887,396円-1,478,907円=6,408,489円

(39年分自家加工収入) (39年分電力消費量) (39年分単位電力消費量当り自家加工収入)

6,408,489円÷3,188KW=2,010円

(39年分単位電力消費量当り収入) (当年分電力消費量) (当年分自家加工収入)

2,010円×2,767KW=5,561,670円

(39年分一般経費) (39年分自家加工収入) (39年分一般経費割合)

2,073,424円÷6,408,489円=0.3235

(当年分自家加工収入) (39年分一般経費割合) (当年分一般経費)

5,561,670円×0.3235=1,799,200円

(三) 特別経費

特別経費については、原告が調査を拒否したため、雇人費は、原告が提出した居住者の給与等についての所得税徴収高計算書から、減価償却費(建物)は、三九年分の調査内容から、地代家賃は、原告の申立(審査請求の時)から、次のとり算出した。

(1) 雇人費 二、〇三〇、四七六円

(2) 減価償却費(建物) 二七、〇〇〇円

(3) 地代家賃 二二、五五七円

(外注費は次記(四))

(四) 外注費

原告の昭和三九年および昭和四一年分の電力消費量を基に推計したのであるが、外注先に加工させたことにともなう収入(外注費と同額と推定した。なお、この推定は原告に有利な方法である。)については、電力の消費を要しないから、昭和三九年分の収入金額から、同年分の外注費を除算した後の自家加工収入金額を基本にして、当年分の自家加工収入を推計し(右算式は前記(二)記載のとおり)、これを次の算式のとおり当年分収入金額から差引いて算出したものである。

(当年分収入金額) (当年分自家加工収入) (当年分外注費)

7,207,485円-5,561,670円=1,645,815円

(五) 専従者控除額 一四二、五〇〇円

専従者控除額については、原告の申告額を認容した。

(被告の本件課税根拠の主張に対する原告の認否及び本件各更正処分の違法事由)

(昭和三九年分)

1  総収入金額

ノーベル工業株式会社の分を除き、その余の金額は認める。原告は、同年中同社との間に取引はなかった。

2  一般経費

荷造運賃及び消耗品費のみを争い(ただし、消耗品費のうち、被告主張の内訳表中番号8・9を争い、その余を認める)、その余の金額は認める。

荷造運賃は三〇万円を下ることはない。

3  特別経費

外注費を除き、,その余の金額を認める。

外注費については、被告の主張する三件のほかに、寺崎レンズ七四四、七七五円、数藤光学工業所三九六、八八五円の二件がある。

(昭和四一年分)

1  総収入金額

杉田軍次の分のみを争い、その余の金額は認める。

2  一般経費

争う。

3  特別経費

外注費のみ争い、その余は認める。

4  専従者控除額

認める。

二 本件各更正処分の違法事由

本件各更正処分には次のとおりの違法があるから、取消されるべきである。

1  本件各更正処分は、原告の加入する民主商工会の破環を目的としたものであるから、結社の自由を保障する憲法二一条に違背する。

原告は墨田民主商会に加入しているのであるが、同会は、原告ら中小零細業者が自らの営業と生活を守るための互助組織として結成され、現在一、〇〇〇名を越える会員を擁するに至っているところ、国税庁をはじめ税務行政庁は、各地の民主商工会を全国的に合して結成された全国商工団体連合体の税務行政に対する批判活動ないし抵抗運動を嫌悪し、かねてからこれを弾圧し、破壊せんと企図していたものであって、本件更正処分も税務行政庁の右企図実現の一環としてなされたものである。そのことは、次の事実によってみても明らかである。

(一) 原告は昭和三九年分の所得税につき確定申告をしたのち、被告の勧告に基づいて修正申告をしたところ、被告は本件更正処分をなしたものであるが、納税者が税務署係官の勧告に基づき修正申告をする場合は、それ以前に納税者と担当係官との間に話合があり、納税者はその話合により修正申告をするというのが行政慣行であるから、右修正申告を無意味ならしめるような更正処分がなされるということは、税務行政上異例のことに属するものである。

(二) 被告は、原告の昭和四一年分の所得税に関する調査に際し、原告の得意先である不二硝子株式会社の役員、従業員らに原告が反税団体である民主商工会に加入していることを告げたため、同会社の役員らは原告に対し同会を脱会して税務署に協力してほしい旨要請するなどの事実があった。このように、被告は原告の得意先を通じて間接的に原告が民主商工会を脱会するよう勧告していたものである。

2  被告は原処分についてその課税当時における課税根拠を明らかにしないから、本件各更正処分は違法である。

課税処分取消訴訟における訴訟物は、税務署長の行なった課税処分手続及び課税標準に関する原処分の課税根拠そのものの違法性の存否であると解すべきであるから、被告は、右違法事由の不存在を主張立証しなければならず、かつ右違法性存否の立証及び判断は、更正処分時までに被告行政庁が認識把握していた資料によってなされるべきものである。

従って、更正または審査決定においては考慮されなかった事実を更正処分取消訴訟の段階に至って新たに主張することを許し、更正処分の適法性を主張・立証しうるとすることは、訴訟の対象たる行政処分の特定・同一性の確定を害うものであり、原処分主義の原則を無視するばかりでなく、更正期間経過後にもかかわらず、新たな更正処分をなしうることを認める結果となって不合理であるし、訴訟手続遅延を招来する点からいっても許されるべきではない。

しかるに、本件において被告は、原処分そのものにつき、その処分当時の課税根拠を明らかにしないから、本件各更正処分は違法である。

3  被告の昭和四一年分についての推計によってなされた本件更正処分は、推計課税をなすに必要な前提要件を具備していないから違法である。

一般に推計課税をするについては、納税義務者の所得実額を把握するためにその協力を求め、拒否されたため実額の把握が不可能であることが前提要件として必要であると解すべきである。

しかるに、本件においては、被告所部の係官が原告方に臨店し、原告の収入についての請求書等の提示を求めたことはあるけれども、原告が調査に協力しなかったという事実はない。すなわち、右係官の説明では、昭和四一年分ではなく、昭和三九年分を主とする調査ということであり、しかも、右係官は何らの予告もなく突然来店し、原告としては書類等について整備していなかったので、とりあえず手許にあった所得税源泉徴収簿のみ提示し、他は整備しておくから二、三日中に来店されたい旨告げたところ、係官もこれを了承したのである。ところが、係官は、それにもかかわらず、その後原告方に来店しないで、原告の得意先である不二硝子株式会社を訪ね、原告の収入に関連して同会社の帳簿類を調べたので、同会社から多忙の折に税務署係官の調査をうけて大変迷惑している旨の苦情が原告の方に持ちこまれた。そこで、原告としては、右事実を原因として同社から取引を停止されるようなことにでもなれば、原告家族の死活問題にもなりかねないので、前記係官が再度臨店した際、不二硝子株式会社に対する反面調査がなされたために原告としては大変迷惑しているので、そのようなことはやめてもらいたいと申入れたところ、係官は、反面調査は税務署側の勝手であると放言し、原告の申入れを一蹴したので、感情的対立が生じ、かくして、係官は原告に対する調査を何らしないまま原告方を立去ったものである。。

以上のとおり原告と被告側係官との間には若干の感情的対立があったものの、これを基に推計課税をなしうる要件が具備していたものとは到底いえないから、被告のなした推計による昭和四一年分の本件更正処分は違法である。

4  本件推計方法は不合理である。

被告のなした昭和四一年分の推計による本件更正処分に関し、自家加工収入金額を昭和三九年分の収支内容及び電力消費量から推定算出した方法は次の理由から合理的でないというべきである。

(一) 原告の事業においては、電力の消費量と機械の作業量ないし収入金額とは必ずしも一致しない。すなわち、昭和四一年における原告の作業の実状としては、電動機を始動させると、作業に無関係の機械も動き出す結果、電力使用量は作業量ないし収入金額と必ずしも一致しなくなる状況であった。殊に、昭和三九年においては、原告本人、家族(三人)、使用人六・六人計一〇・六人で機械を全部稼動させていたのに対し、昭和四一年では、人手不足の影響をうけ、使用人が減り、結局九・一人で作業せざるをえない事態に立至ったため、電力は消費するが、機械の遊んでいる状況が部分的に出現する結果となっていたものである。

(二) 原告の事業においては、研磨するガラス加工品の種類により電力の使用量が異なるから、電力使用量と加工賃収入金額とは必ずしも一致しない。例えば、昭和三九年における得意先のなかに株式会社保谷硝子があるが、同年分の加工賃収入の中で同社の占める割合は、ほぼ三割を占めていた。そして、同社からの注文による加工品は主として輸出用幻燈器のレンズと輸出用ヘルスメーターのレンズで、その加工のため所要電力使用量は、他の加工品に比較すると精々半分程度にすぎず、しかも加工賃は割合よかった。ところが、昭和四一年においては、同会社との取引がなく、右加工品は取扱っていないのである。

(原告の違法事由の主張に対する被告の主張)

一  違法事由1

本件各更正処分は、すでに述べたとおり、適法な調査に基づく適法な更正処分である。もとより、被告が民主商工会員のみを調査して更正処分を行なったことはなく、他の納税者となんら変わるところなく調査を実施し、申告内容に誤り等があれば更正処分を行なっているものである。たまたま原告に対し本件各更正処分がなされたからといって、民主商工会破壊の目的であるとの原告の主張は、事実を曲解しているものである。

原告が右主張の根拠とする事実のうち(一)については、被告において、原告の本件係争年分の所得を調査した際、その売上先について昭和四一年分の資料があったので昭和三九年分についても調査したところ、原告の昭和三九年分の修正申告の基となった売上金額のほか、江信特殊硝子株式会社外一二件に対する売上金額が計上もれであることが判明したのでその調査に基づき本件更正処分をしたものである。税務署長は、納税申告書、(確定申告書、修正申告書のいずれかは問わない。)の提出があった場合に、その申告した課税標準等又は税額等が調査したところと異なるときは、更正を行なわれなければならない義務を有しているものであって(国税通則法二四条参照)、右のような売上計上もれが発見された場合、これについて、税務署長として更正処分を行なうことは、その職責である。このようなことは原告の場合に限らず、他の納税者についても右のような事実があった場合には、通常更正処分が行なわれているものであって、なんら特別異例な取扱いではない。

原告の主張(二)のような事実はない。

二  違法事由2

課税処分取消訴訟における訴訟物は、課税標準等の存否であって、被告が算定した課税標準等または税額等の数額が実際の課税標準等または正当な税額をこえて計算されているかどうかであるから、被告としてはその範囲内で主張立証すれば足りるのであって、そのことと直接関係のない事実まで主張立証する必要はないものである。

なお、右主張が正当であることは、課税処分の取消訴訟において、課税庁がその主張を維持するため訴訟提起後に作成された資料によって当該課税処分が客観的に正当であることを立証すれば、右課税処分を違法とすることはできない旨の、あるいは更正または審査決定では考慮されなかった事実を、処分を正当とする理由として、訴訟の過程にいたって新たに主張することが可能と解されている旨の判例(最高裁判決昭和三六年一二月一日・昭和三五年(オ)第一八〇号、同判決昭和四二年九月一二日・昭和三九年(行ツ)第六五号)からも明らかである。

三  違法事由3

被告において原告の昭和四一年分所得税につき推計によって本件更正処分をなした経緯は以下のとおりであり、何ら違法のかどはない。

被告が、原告の申告状況について検討したところ、原告の申告所得額は、昭和三九年分に比して、昭和四〇年分、同四一年分と年々減少していた。そこで被告は、過少申告の疑いがあるので原告の所得税に関して、調査の必要を認め、以下1ないし4のとおり、被告所部の大蔵事務官森山政邦(以下「係官」という。)をして調査をなさしめた。

1 昭和四二年一二月一二日午後二時頃係官は、被告所部の大蔵事務官高柳和午とともに原告力に赴いて原告に面接し、原告の昭和四一年祉を主体とする所得税に開しての調査のため臨店した旨を告げ、収入についての請求書等の提示を求めたところ、原告が係官らに提示したのは、原告の主要得意先である不二硝子株式会社についての昭和四二年分の関係書類だけであったので、係官らは、不二硝子以外の収入の有無を尋ね、その関係書類の提示を求めたが、原告は「自分の工場の加工能力は不二硝子の仕事で手いっぱいで、それ以外の仕事にはとても手がまわらない。しかし、臨時に晩酌代程度の仕事をすることはある。」と答えるだけで、不二硝子以外の収入についての関係書類の提示をしなかった。つぎに、支出関係では原告が係官らの求めに応じて提示したのは、雇人についての昭和四二年給与所得に対する所得税源泉徴収簿(以下「一人別徴収簿」という。)だけで、出勤簿については都合により、また、過年分の関係書類については、その有無が不明という理由でいずれも提示されなかったが、それについて原告から今度臨店したとき提示する旨申し出があった。係官らは、本日提示を受けた一人別徴収簿の内容を一見したところ、雇人の住所欄に住所の記載がなかったので、今度臨店するときまでに記載しておくよう依頼して当日の調査を終え、午後三時一〇分頃原告宅を辞去した。

2 昭和四二年一二月一八日午後二時頃係官は、被告所部の大蔵事務官外山一弘、同高柳和午とともに、原告方に赴き原告に面接して、原告の所得税に関しての調査のため臨店した旨を告げ、去る一二日臨店調査した際原告に依頼しておいた雇人の住所欄記載済の一人別徴収簿、出勤簿および収入等関係書類の提示を求めたが、原告は、係官らが原告に無断で原告の取引先について反面調査したことを理由に挙げ、係官らの再々の提示の求めにかかわらず提示を拒絶し、そのうえ、自主申告を行なっているのであるから調査を受ける必要はないと述べ、調査そのものを拒否したので、係官らはやむなく当日の調査を断念し、臨店後十数分で原告宅を辞去した。

3 昭和四三年一月二四日午後一時半頃係官は、前記外山一弘とともに原告に赴き原告に面接、所得税に関しての調査のため臨店した旨告げ、調査に必要な関係書類の提示と作業場の検分方を求めたが、原告は、昭和三九年分については、調査が済んでいるのだから再度調査をする必要はない、昭和四一年分の調査だけで昭和四〇年分以前に遡及しない場合は調査に応じてもよい、作業場は今日は都合があって見せられないが、この次臨店するときは見せてもよいなどと述べるだけで係管らの求めに応じようとせず、さらに原告は、被告が更正をすればそれに反駁する資料はある旨述べ、係官らの資料があるならばそれを提示し、調査に応じるようにと再三の説得にもかかわらず、資料の提示をしなかったので、係官らは当日の調査を打ち切り午後三時半頃原告宅を辞去した。

4 その後、昭和四三年一月二九日午前九時頃電話により原告から係官に、調査する理由を明らかにして欲しいとか、白色申告で記帳の義務がないから、関係書類の保存はない旨の申し立てがあった。

以上の調査経緯のとおり、原告は、係官らの再三に亘る説得にもかかわらず、係官らが求めた関係書類の提示等を拒否し、調査にも応じなかったので、係官は原告の所得を計算できなかった。

ところで、原告の収入金額については、前記調査とは別に原告の取引先および取引金融機関の調査により把握することができたが、経費については前述のように原告から調査の協力が得られなかったので、やむをえず、右取引先等調査から把握した収入金額と原告の昭和三九年分の経費率等を基礎として、推計により算出したものである。

四  違法事由4

1 所得金額が実額により算定できない場合の推計計算は、その推計計算の基礎とすべき資料の入手可能な範囲および納税者の業種、業態等により種々の方法がありうるが、その場合でも実際に採用可能な方法のうちで最も合理的と認められる方法により計算すべきことは当然である。

ところで、所得金額算定の基となる収入金額の計算について本件原告の場合、原告からの税務調査に対する協力が得られなかったため、推計計算によらざるをえなかったことについては既に述べたとおりであるが、その推計計算方法としては、電力消費量から自家加工収入を計算する方法のほかに、〈1〉従事人員一人当りの自家加工収入金額から収入金額を計最する方法、〈2〉雇人費の自家加工収入金額に占める割合から収入金額を計算する方法などが考えられる。しかし、右の〈1〉の従事人員一人当り収入金額から計算する方法は従事員の人数および従事員の従事期間、熟練度等が原告の協力がないため不明であり、また〈2〉の雇人費の占める割合から計算する方法は、原告から昭和四一年以前の給与所得に対する所得税源泉徴収簿、出勤簿、その他の関係書類について原告がこれを提示せず、正確な数額が確認できなかったため、これらの方法によっては適確な(すなわちより精度の高い)推計計算ができなかったものである。

また、右の〈1〉、〈2〉の方法は、原告の加工形態から見て自家加工収入金額に直接的に比例する客観的で、より確実な数値である電力消費量に基づく推計計算の方法には劣るものである。したがって、実際に原告について採用しうる方法中では被告のとった方法が最も合理的なものである。

2 ちなみに、原告が主張する従事人員に基づいて推計計算した昭和四一年分の自家加工収入金額は次の(一)の計算のとおり五、〇九三、三五一円となり、また原告が認めた雇人費に基づいて推計計算した昭和四一年分の自家加工収入金額は次の(二)の計算のとおり五、九一八、〇二九円となる。この点からしても消費電力量に基づく昭和四一年分の自家加工収入金額五、一四九、三八七円は、右各金額と大差なく、被告の推計計算は、合理的である。

(一) 原告が主張する従事人員に基づく自家加工収入金額

原告の主張する従事人員、昭和三九年分一〇・六人同四一年分九・一人を基に、原告の昭和三九年分の自家加工収入金額より、昭和四一年分の自家加工収入金額を計算すると次の如く五、〇九三、三五一円となる。

(1) 昭和三九年分の従事人員一当りの自家加工収入金額 五五九、七〇九円

自家加工収入 従事人員

5,932,924円÷10.6人=559,709円

(注) 自家加工収入は、被告主張の八、一五六、六〇六円から外注収入(利益がないので外注費と同額)二、二二二、六八二円を控除した金額である。

(2) 昭和四一年分の自家加工収入金額 五、〇九三、三五一円

〈1〉の1人当り自家加工収入金額 41年分の従事人員

559,709円×9.1人=5,093,351円

(二) 原告が認めた雇人費に基づく自家加工収入金額

原告が認めた被告主張の昭和三九年分の雇人費二、〇三六、一三三円及び被告主張の昭和四一年分雇人費二、〇三〇、四七六円を基に、昭和三九年分の自家加工収入金額より昭和四一年分の自家加工収入金額を計算すると次の如く五、九一八、〇二九円となる。

(1) 昭和三九年分の自家加工収入金額のうちで雇人費の占める割合

〇・三四三一

雇人費 自家加工収入

2,036,133円÷5,932,924円=0.3431

(注) 自家加工収入は前記(一)の〈1〉の「(注)」と同様である。

(2) 昭和四一年分の自家加工収入金額 五、九一八、〇二九円

41年分雇人費 (1)の39年分の雇人費の割合

2,030,476円÷0.3431=5,918,029円

3 原告の主張は、原告方の機械は、電気のスイッチをいれるすべて動き出す結果、昭和三九年に比べ、従事員の少なかった昭和四一年においては、電力は使用されるが機械は遊んでいる状況にあったので、電力の使用量と作業量は一致しないし、加工する品物の種類により電力の使用量が異り、加工賃収入と電力使用量とも一致しないのであるから、自家加工収入と電力消費量とは比例しないというにある。

しかしながら、原告の機械台数は、七台であり、従事人員は、昭和三九年一〇・六人、昭和四一年九・一人いたのであるから、原告の機械台数と従事人員数からみて、原告主張のように機械が遊んでいるようなことにはならない。また、機械七台のうちの一台は、荒けづり機でこれは別個にスイッチがついており、他の六台はベルトで連動するようになっているというのである。

被告は、原告の調査非協力のため原告の工場の内部は知らないが、一般にこのように使用しない機械がでる場合には、ベルトをはずしてスイッチを入れるのであって、作業量と電力消費量は一致するというべきである。

そして、原告の加工賃収入と電力消費量との関係は、別表第三のとおりであって、その指数をみればわかるようにほぼ比例するのであるから、電力消費量を基に、推計する方法は、合理的なものというべきである。

第三証拠関係

(原告)

一  甲第一ないし第一二号証、第一三ないし第一六号証の各一、二、第一七ないし第二四号証、第二五ないし第三八号証の各一、二、第三九ないし第四八号証を提出。

二  証人大山茂の証言、原告本人尋問の結果を援用。

三  乙第六号証の成立は不知、その余の乙号各証の成立は認める。

(被告)

一 乙第一ないし第一一号証を提出。

二 証人森山政邦、同倉田寛、同田中文雄の各証言を援用。

三 甲第一三ないし第一六号証の各一、二の成立、第一八ないし第二四号証のうち官公署作成部分の成立、第四二ないし第四四号証、第四八号証(原本の存在を含む)の各成立を認め、その余の甲号各証及び第一八ないし第二四号証のその余の部分の成立は不知。

理由

一  請求原因一(本件各課税処分の経緯)については当事者間に争いがない。

二  原告主張の違法事由の存否

1  違法事由1

原告は、本件各更正処分は原告の加入する民主商工会等の組織破壊を目的としたものであると主張するけれども、証人大山茂の証言をもってしても右主張事実を認めるに足りず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

原告が右主張の根拠として主張する事実も以下述べるとおりその根拠となすには足りないものというべきである。

(一)  税務署長が納税者に対して修正申告書の提出をしようようし、納税者がこれに応じて修正申告書を提出したからといって、納税者の当該係争年分の税額が確定してしまうというものではなく、税務署長がその後調査したところと修正申告書の内容とが異なるとき、税務署長において右修正申告書に係る課税標準等を更正することは法の明定するところであって(国税通則法二四条)、税務署長の側から納税者に修正申告書の提出をしようようした場合、もはや当該署長において当該納税者に対し更正処分をしないというような税務行政の慣行があるとの事実を認めることはできない。

証人倉田寛の証言によっても、本件において、被告側において原告に昭和三九年分の所得税申告に関し修正申告書を提出するようしようようした事実を認めることはできるがその後になされた本件更正処分は法の右規定に依拠したものと認められ、それ以上に原告の主張するような目的のもとになされたものであると判断すべきほどの特別な事情はなんら認められない。

(二)  原告主張(二)の事実を認めるに足る証拠はない。

2  違法事由2

更正処分取消訴訟の審判対象(訴訟物)は、当該更正処分の取消原因としての違法性の存否であると解せられるから、課税標準及び税額に関していえば、これが客観的に存在するか否かであって、原処分の課税根拠の当否そのものではないというべきである。従って、被告が処分当時ないし審査裁決当時に把握していなかった事実を処分を正当とする理由として訴訟の過程に至りあらたに主張し、その後に蒐収した資料をもってこれを立証することを妨げるものではなく、そうである以上は原処分当時の課税根拠は当該具体的訴訟における立証の便宜、必要に応じて明らかにすれば足りることというべきである。また、原処分に関し、例えば、当時なんらの資料をも把握していないのに課税処分をなした等のことがあり、このようなことが原処分を違法ならしめる手続上の瑕疵にあたると解せられるとしても、原処分当時の課税根拠を明らかにしないことと原処分に右のごとき手続上の瑕疵があることとは自ら別の場面のことに属するから、原処分当時の課税根拠を明らかにしないからといって、そのことから常に直ちに原処分が違法であるということはできないというべきである(付言するに、本件各更正処分に右のごとき手続上の瑕疵のあることは、原告の指摘しないところであるし、本件証拠及び弁論の全趣旨に徴しまったく認められないのみならず、却って右のごとき瑕疵のないことは後示するところから明らかというべきである。)

原告の右主張は失当であって採用することができない。

3  違法事由3

証人森山政邦の証言、原告本人尋問の結果によれば次の事実を認定することができ、右認定に反する証拠はない。原告は、ガラス研磨業を営む白色申告者である(右事実は当事者に争いがない。)が、昭和四一年頃現金出納簿、売上帳の備えつけがなく、原始記録の保管についても特段の留意をしていなかった。そして係官が昭和四二年一二月初め頃、係争年分の所得調査のため原告方を訪ね、当該年分にかかる営業上の支出関係書類の提示を求めたところ、原告は昭和四二年分の従業員の給料に対する源泉徴収簿(一人別徴収簿)及び不二硝子株式会社関係書類だけを見せ、右以外には何も提示しなかった。そこで係官は、原告が次回の調査の際までには関係書類を整理しておくということでもあるので、当日は一応原告方を辞去し、不二硝子株式会社を訪問し、原告との取引に関し反面調査をした。ところが、同月中旬、係官が再び原告方に赴き、関係書類の提示を求めたところ、原告は、係官が原告の了承を得ることなしに前記の反面調査をしたとして、そのことを激しく攻撃し、さらに、自主的に所得の申告をしている以上、調査される必要はないとして、書類の提示をしなかった。その後、係官は翌昭和四三年一月下旬再度原告方に赴いたが、原告は調査に応ずる意向のないことを明らかにしたばかりでなく、後日、係官に電話で、白色申告者には記帳義務がないので、関係書類の保存もない旨の連絡をした。かくして、被告は昭和四一年分につき一部実額による所得の把握ができないとして推計によって本件更正処分をなすに至ったものである。

ところで、推計課税は、実額の把握が困難である場合に許され、かつその場合においてのみ許されると解すべきであるから、十分調査すれば実額の把握が可能であるにも拘らず、その調査を尽さずに推計によった場合には、課税処分は違法となるものと解すべきところ、以上の認定事実によれば、原告方では係争年分の収支計算をするに必要な帳簿書類の作成、保存が不備であることが明らかであるばかりでなく、係官の再三の要請にもかかわらず、調査に対する原告の協力がえられなかったことが認められるから、実額の把握は困難というべきであって、推計課税が許される場合にあたるものということができる。

原告は、推計課税が許されないと主張し、その理由として係官が原告の了解を得ることなしに前記の反面調査したとの事実を挙げるけれども、右のごとき事実があるからといって、前示認定の調査の具体的経緯にかんがみれば、推計課税を違法ならしめる調査不尽というにはあたらないというべきである。

原告の主張は採用できない。

4  違法事由4

(一)  原告の主張(一)

原告本人は右主張と同旨の供述をするのであるが、およそ、営利を目的とする事業活動において原告主張のような経費は無駄というべく、およそ効率化を図ることが当然な企業としてかような無駄な費用の発生を放置することは首肯しがたいところである。しかも、原告主張のような非効率的な機械の使用は被告主張のような簡単な操作を施すことによって容易に避けられると認められるので、原告の右主張は採用しがたい。

(二)  原告の主張(二)

原告本人は右主張と同旨の供述をしている。

なるほど、単位電力消費量一kw当りの加工収入金額は、効率の異なるものの平均値であるから、その差異が拾象される範囲内であれば差支えないが、原告の主張するように総収入金額の三割以上の受注にかかる効率が他と著しく異なるのであれば、当該受注が含まれると否とは、推計の合理性に影響を及ぼすことはさけられないといいうる余地があるというべきである。

しかしながら、係争両年分の総収入金額のうち、ほぼ六割を占める不二硝子株式会社及び右以外の取引先からの受注と保谷硝子からの受注と比較した場合、効率において両者間にどの程度の差異があるかという点については、原告において立証すべきものであると解されるところ、原告の供述以外にこれを認めるべき証拠はなく、しかも原告の右供述もこれを裏付けるに足りる根拠が見出せない。そうとすると、原告において、なお具体的事由を主張し、立証しない限り、そのことを理由としては被告のなした推計の合理性を否定することはできないといわざるをえない。

原告の右主張は採用できない。

(三)  以上のほか、昭和四一年分の一般経費及び特別経費のうち外注費に関して被告のなした本件推計の方法及び額について、原告の利益のために、これを不合理と断ずべき事由は見出せず、右の推計は被告の主張に徴して、その合理性を是認できる適法なものというべきである。

三  所得金額の認定

(昭和三九年分)

1  総収入金額

ノーベル工業株式会社(同表番号9)を除くその余の金額については当事者間に争いがない。

成立に争いのない甲第一五号証の一、二、乙第二号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第六号証、証人森山政邦の証言を総合すると、原告は、昭和三九年七月一六日頃ノーベル工業株式会社から硝子研磨の加工費として八三二〇円を受取ったことが認められる。右認定を左右するに足りる証拠はない。

2  一般経費

荷造運賃(同表番号17)及び消耗品費(同表番号23)を除くその余の金額については当事者間に争いがない。

(一) 荷造運賃

被告主張にかかる七〇、四三二円は、その主張によれば、原告の昭和三九年分の収入金額に原告の昭和三八年分の荷造運賃の同年分の収入金額に対する割合を乗じて算出したものであるというところ、被告はその基礎数額を示していない。しかし、原告は右の基礎金額については明らかに争わないし、右推計方法もそれ自体一般的には不合理ともいえず、また前示認定のとおりの昭和三九年分収入金額に即してみても被告主張の荷造運賃金額を相当とすることができる。

原告本人は、取引先である保谷硝子にガラス加工部品の運搬を訴外松本幸夫なるものに依頼したので、その運賃は合計三〇万円を下ることはない旨の供述をし、甲第一ないし第一二号証(領収証)は右供述にそうがごとくである。

しかしながら、成立に争いのない乙第四号証、同第八号証に証人田中文雄の証言をあわせると、右甲第一ないし第一二号証は、訴外寺崎治男が原告の依頼をうけて作成した松本幸夫なる架空人名義の領収証であることが窺われるのであって、他に、原告において訴外松本に対し右領収証記載のとおりの運送を依頼したことも、右各証に記載されている額の運賃を支払ったことも、これを認めるに足りる証拠がない。

そうとすると、被告主張の荷造運賃を不相当とすべきいわれはないというべきである。

(二) 消耗品費

被告の主張にかかる内訳中、原告は番号8(包装費)、9(その他消耗品費)を争い、その余の番号1ないし7は当事者間に争いがない。そして、右争いのある包装費及びその他の消耗品費等についても、証人田中文雄の証言によれば、被告の右係争経費の認定は原告の提示にかかる領収証等原始記録に基づいてなされるものであることが認められ、これを覆えすに足りる証拠はないから、被告の右認定は相当というべきである。

3  特別経費

外注費を除くその余の金額については当事者間に争いがない。

外注費については、原告は、被告主張にかかる外注費内訳三件のほかに、寺崎レンズ及び数藤光学工業所に対する各外注費があると主張する。

(一) 原告主張の寺崎レンズに対する外注費

右外注費とは、訴外寺崎治男との間の取引にかかるものと解せられ、原告本人は同旨の取引があったとの供述をし、甲第四七号証にも同旨の記載がある。

しかしながら、成立に争いのない乙第八号証(大蔵事務官の寺崎治男に対する聴取書)によれば、寺崎は原告との間のガラス研磨の下請をしたことはない旨の陳述記載があり、右陳述に照らすと、原告の主張にそう前記原告本人の供述及び甲四七号証の記載は共にたやすく措信しがたく、他に原告の主張を認めるに足る証拠はない。

(二) 原告主張の数藤光学工業所に対する外注費

右外注費とは、原告が同工業所こと数藤秀雄にガラス研磨の下請けを依頼したその費用をいうものと解せられ、原告本人は同旨の取引があったとの供述をし、甲第二六号証ないし第三八号証の各一、二は右取引に関する納品書及び代金領収証であるかのごとくである。

しかしながら、成立に争いのない乙第九ないし第一一号証(大蔵事務官の数藤秀雄に対する聴取書等)によれば、数藤は過去には原告と取引をしたこともあるが、原告主張にかかる下請の取引があったとする時期には、ガラス研磨の自営業をやめており、昭和三八年一二月からコムラーレンズ株式会社に勤務し、原告からたのまれて仕事をしたことはない旨の陳述記載があり、右陳述に照らすと、原告の主張にそう前記原告本人の供述はたやすく措信しがたいし、かつ、甲二六号ないし第三八号証の各一、二についても、同書証がいずれも数藤光学工業所こと数藤秀雄の作成にかかるものかどうかにわかに認めがたく、他に原告の主張を認めるに足る証拠はない。

そうとすると、外注費についても、被告の認定を相当でないとすべきいわれはないというべきである。

以上によれば原告の昭和三九年分の事業所得の金額は被告の主張にかかる二、二四九、三七五円と認定するのが相当である。

(昭和四一年分)

1  総収入金額

杉田軍次(同表番号8)の分以外については当事者間に争いがない。

杉田軍次からの収入金額については、証人森山政邦の証言によると、原告は昭和四一年の一年間を通じ右杉田と取引があり、その取引額は月額平均七、五〇〇円が一一か月分、三〇、〇〇〇円が一か月分、合計一一二、五〇〇円であったことを認めることができ、右認定に反する証拠はない。

2  一般経費及び特別経費のうち外注費の認定については前示したところであり、特別経費のうちその余の金額及び専従者控除額については当事者間に争いがない。

以上によれば原告の昭和四一年分の事業所得の金額は被告の主張にかかる一、五三九、九三七円と認定するのが相当である。

四  よって、被告のなした本件各更正処分には、原告主張の違法はなく、また、所得額の認定(不服申立により一部取消された残余の部分)も当裁判所の前示認定額の範囲内であって適法であるから、その取消を求める原告の本訴各請求はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 内藤正久 裁判官 山下薫 裁判官 三輪和雄)

別表第一(昭和三九年分事業所得)

〈省略〉

別表第二(昭和四一年分事業所得)

〈省略〉

別表第三(原告の加工賃収入と電力消費量との関係)

〈省略〉

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